知識創造論についての説明をしていきたいと思う。知識創造論において、知識とは「正当化された真なる信念」と定義される。すなわち、内省により身についた体験や価値観、専門的な洞察など個人に深く根ざした全人的なものであると考えられる。
そうした個人的・主観的な信念が、社会的・客観的な組織との間で行われる相互作用を通して正当化されていくプロセス、それが知識創造活動である。知識の形態は、大きくとらえて暗黙知と形式知の2つの次元に分けられる。
暗黙知とは個人的かつコンテキスト依存的で明示することや伝達が難しい、経験に根ざした主観的なものである。一方の形式知とは、いわばコード化された知識であり、形式上の体系的言語で伝達しうる知識である。
暗黙知と形式知は相互補完的な関係にあり、創造的活動において相互作用し、相互循環する。この相互のダイナミックな働きを「知識変換」と呼び、知識変換を通して知識は創造され広がっていく。
知識変換には、何が何に転換するかに応じて4つのモードがある。それをモデル化したものがSECIモデルである。
共同化とは、同じ空間や時間を共有化し、共体験を通してある人の暗黙知が他者の暗黙知へと転換される、共有されたメンタルモデルなどの暗黙知を創造するプロセスである。
暗黙知を形式知ヘと変換し、暗黙知を明確なコンセプトや言語で表現するプロセスを表出化と呼ぶ。現場の熟練労働者が体得している技術をマニュアルに落とし込もうとするプロセスなどが例として挙げられる。
連結化は、形式知を組み合わせるプロセスでコミュニケーションなどを媒介として行われる。形式知を暗黙知へと変換し、形式知を行動による学習などで体系化するプロセスが内面化である。
企業における社訓や社則の読み合わせなど、徹底的に繰り返すことで当たり前のこととして物事に取り組むことなどが内面化の典型的な事例である。
このSECIモデルの4つのモードからなる知識変換の連続的な相互作用が繰り返されることによって知識が創造され、さらに個人から集団,集団から組織へと広がりをもつことで、その創造活動が促進されていく。
知識創造のプロセスが明らかにならたことで、知識は初めてマネジメントされうる経営資源として認識されるようになった。
この点こそが企業経営に対する知識創造論の最大の貢献であり、その後のさまざまなマネジメントに関する研究や手法の布石となる重要な理論と位置づけられる理由と考えてよいであろう。
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